ハリーな優馬くんの演技に感動した話。

3幕まで集中して観た。
3幕のハリーは未練たっぷりの情けない男。
車イスで窓際まで行き外に来ているはずの恋人をさがす。

これがね、なかなかで。

観ていない人の為に脳内イメージフル活動!
セットは病室。向かって右から26番、27番、28番の3つのベットが設置されている。
26.27は例のおじさま二人。
この二人が素晴らしい役者さんで。
脚本上、貴重な笑いのもと。
あーでもない、こーでもないと漫才をしていると…

下手端(左)側の開けっぱなしのドアからうなだれたハリーが入ってくる。
漫才が止み、
舞台も観客もシーンと静まりかえる。
物音ひとつせずに。
ひたすらひたすら車イスを動かすハリー。
上手端(右)に作られた窓まで行く。
窓から外を見る。
恋人はいない。
がっくりとうなだれ今入ってきたドアまで戻り出ていくハリー。

これを漫才を挟んで2回!
あまりにもシーンとしてるからこちらまで緊張。

この演技なかなか大変な気がする。
セリフがないから優馬くんは車イスに座った状態のまま姿勢だけを見てもらって演技をしなければならない。感覚で訴える?そんな感じ。
顔を下に向け
背中は車イスから離し丸めている。
この丸め方が絶妙にうまい。
足は動かない。
動かないだけでなく右足首を90度内側に折り入れる。
膝はついていたかな?
左足の足首は前を向かせていたかな?
(次回観劇時よく見てくるっ!)

ジェシーを呼んできてよ!
ジェシーがいるはずなんだ。
ジェシーは?
ねぇジェシーは?

と甘えすがるハリー。

窓から外に向かって大きな声で叫ぶハリー。
(セリフ忘れちゃったなぁ。なんて言っていたのだったかな?)
なにしろ!とにかく!声はとてもよく出ていて。
まるで本当に外にはジェシーがいるかのようで。


うまくなったよ!
観れなかった皆さま!
優馬くんは本当にうまくなったよ!

これはwowowで流してもらいましょうぞ!
なんせwowowの北斗を観た演出家の森さんが優馬くんにオファーしたのですから。
wowowに要望するしかあるまい!


さぁ4幕。
脳内イメージフル活動!
セット的には病院?ダンスホール
ベットはない。

※※※※※パンフに書いてありました。フットボールクラブの建物の部屋だそう。それはそれでなかなかキツい。

医者の企画かな?
元気をだしてもらおうと企画したのかな?
なんだか記憶が曖昧だけど(笑)

たくさんの男と女が歌い踊る。
それはそれは楽しそうに踊る。
皆綺麗な服を着て素敵なハイヒールを履いて。
これでもかと足をあげて踊る。
男達は腰を曲げ背中を反り返し女を支えて踊りまわる。
まるでハリーに見せつけるかのように。

一方ハリーは…。

スーツを着ている。
頭にはパーティ用のまぬけな帽子。
紙で作られた変な帽子を被らされている。

陽気にダンスをしている男と女の後ろを
暗い表情をしたハリーが車イスで追いかける。
みな鬱陶しそう。
お前邪魔なんだよ!って感じを醸し出している。

臆測だけど…。
ハリーは多分脊髄を損傷しているのだと思う。
腰から下が動かない。
次第に手にも痺れがきている様子。
劇中ハリーが自分自身の脚を持ち上げる芝居が入る。
重そうに。
それはそれは重そうに持ち上げる。
その演技が素晴らしい。
まるで優馬くんの脚が本当に動かなくなってしまったようにみえてくる。
周りはハリーは精神(脳?)も病られてきていると話をしている。

でもきっとハリーは脳はやられていなくて。
ハリーは口でしか闘えないから
だからみなを不快にする言葉ばかり発するのではないかな?

ハリーはもう恋人を抱くことができないから親友だった男にひどい言葉を投げつけるんじゃないかな?

ハリーはもう男としては女を抱くことができないから離れていった恋人にひどい言葉を投げつけるんじゃないかな?

どうだろ?私の解釈は?
これは次回観劇の宿題だな。

荒れるハリーに母が諭す。
あなたにはウクレレがあるじゃないの…
ウクレレを弾いておくれ…と。

手にも痺れがきているはずのハリー。
ポロンポロンとウクレレを弾き歌い始める。

ハリーのウクレレの音色もハリーの歌声も陽気に歌い踊る若者たちにすぐにかき消されてしまう。


ラスト…
動けるけれど目が見えなくなった男と
目は見えるけれど動くことができなくなった男が
静かに舞台上から去る…。



ラストもラスト。
目が見えなくなった男の奥さま(ハリーの上の階に住んでいる)が
「ハリーのポロンポロンというウクレレの音色に癒されてるの」と語る。

そしてここから先はゆまともさんの言葉。


《あのセリフに全てが救われて終わるから、暗い気持ちのままにならずにいられた気がして…

ハリーが 婦人を癒す音色を奏でているのならば、
ハリーの心の奥底に まだ本来のハリーが生きているんだね…と思えて。

あのセリフを最後に置いてくれて、ありがとう…と思ったの…。


荒れ狂っていたハリーが ウクレレを弾き始めたら
すーと 心静かな表情になったな…と思って。

パーティーの音にウクレレの音がかき消されたのではなくて、
ハリーはパーティーの音など耳に入っていないんだろうな…と思える程、心静かな表情をしていて…



悪ぶっても 別れの最後には母親に挨拶をするハリーのあの本来の姿が、
ウクレレを弾いている時に表れている感じがして…

しあわせに暮らすかどうかはわからないけれど、
本当のハリーを取り戻して静かに暮らしていくのかな…と思ったり…

だから不思議と暗い気持ちで終わらなかったの。》

と。

そうだった!
私も暗い気持ちでは終わらなかった!
ハリーに幸あれ!と思ったし。
ハリーにはまだ未来がある!
だって生きているんだから!
と思ったのです。

主役なのに出番が少ないと書かれている方がいらしたけど。
私は全然そうは感じなかった。

優馬くんの存在感は半端なかった。

また一歩進んだ。
そう思う。